「ここからが本当の意味でのスタートです」。7月3日、阪神タイガースとの支配下契約を発表する場で、神宮僚介投手はそう言葉を選びました。2025年育成ドラフト1位の23歳。入団から半年での昇格です。背番号は127から95に変わり、年俸420万円からの積み上げが始まります。
神宮の持ち味は、右サイドスローから繰り出す変則的な球筋です。群馬の桐生第一高から東京農業大北海道オホーツクへ進み、在学中にはトミー・ジョン手術も経験しました。育成1位で指名された昨秋には「素直にうれしい」と語っていた右腕が、回り道を重ねてたどり着いたプロの世界。今季は二軍15試合に登板して防御率2.13と、救援としての安定した投球が支配下への評価につながりました。
この昇格には、阪神の編成方針がよく表れています。年齢×ポジション表で数えると、阪神の育成選手はわずか10人。ヤクルト・楽天と並んで12球団で最も少なく、51人を抱えるソフトバンクとは対照的です。少数で獲り、支配下へ引き上げる前提で育てる。育成1位を半年で昇格させた今回の動きは、その方針どおりの運用だといってよさそうです。
これで阪神の支配下は69人となり、残る枠は1つ。6月に加入した救援右腕セベリーノに続く登録で、ブルペンの選択肢を増やす動きが続きます。救援陣は岩崎優(35)、ドリス(38)ら経験豊富な顔ぶれが支え、支配下投手全体の平均年齢は27.5歳。23歳以下の学年の支配下投手は神宮を含めて5人しかいません。若さと、右サイドという球筋の希少性。その両方を一度に足せる1枠だったわけです。
チームは7月3日時点で38勝33敗の2位。首位巨人とは0.5ゲーム差で、1試合の重みが増していく季節に入ります。「いち早く甲子園で投げられるように」。会見でそう続けた右腕の言葉が現実になる日は、そう遠くないかもしれません。